キリリク部屋

□俺様から逃げられると思うなよ?
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昔、ある所にシンデレラ(弦一郎)という何不自由ない生活を送っていた子供が父親(蓮二)と二人で暮らしていました。

「弦一郎、今度再婚する事になったんだ。」

「む、初耳なのだ。」

「当たり前だ。初めて言ったんだから。」

「誰とするのだ?」

「この人だ。」

蓮二は新しいお母さんの写真を見せました。

「…そうか。蓮二が幸せならそれで構わん。」

「嫌なのか?」

「嫌ではない。只、俺と二人では不満だったのかと…」

「決してその様な事はない!!」

あの家の奴と結婚するのは仕方なくだ。寧ろ俺は弦一郎と二人のままが良かった。でもそうすると話が続かないだろう?

「そうか。ならばいいのだ。それでいつから共に暮らすのだ?」

「明日だ。」

「随分と急だな。」

「まぁな。」

そうしてシンデレラもとい弦一郎は継母(貞治)、姉二人(精市、周助)と一緒に暮らすこととなった。


〜次の日〜

「俺が君の新しく母親になった貞治だ。これから仲良くしていこう。」

「うむ。弦一郎と申す。宜しくお願いします。」

「俺が長女の精市だ。」

なかなか可愛いね。これからが楽しみだな。

「僕が次女の周助、宜しくね。」

 
綺麗だし、礼儀正しい…面白くなりそうだね。



この日から継母や姉二人によって弦一郎は辛いイジメ?に合い続けました。



「弦一郎、暖炉の掃除をしておいてくれ。」

「うむ。」

弦一郎は精市の命令にも嫌な顔せず掃除をし始めました。

「結構、灰が溜まっとるな。」

弦一郎が暖炉に顔を突っ込み覗いたその時!!

【ドン!!】

「うわっ!!」

精市は暖炉の側面を思いっきり叩いていたのでした。パワーSの力で…。

「な、何をするのだ!!」

「フフ、いや灰を落とすのを楽にしてあげようかと思って。」

「余計な事はせんでいい!!」

弦一郎は頭から灰をかぶり真っ白になっていました。

「まさに灰かぶりだね。今度からシンデレラじゃなくて灰かぶりでも良いんじゃない?」

「何を言っておる。元々シンデレラなどとは呼ばれとらんわ。」

「フフ、そうだったね。」

だってシンデレラって呼ぶより弦一郎って呼んだ方がしっくりくるでしょ?

「それよりこんなに汚れていては掃除をしても意味がないな。」

「じゃあ風呂に入ろうか。」

「うむ、そうだな。…って何故ついてくるのだ?」

 
「そんなの俺が洗ってあげるからに決まってるだろ?」

「なっ!!い、いい///一人で入れる///」

「俺の言うことを聞かないつもりかい?」

「うっ…」

何の為に俺が灰を落としたと思ってんの?
俺が只の意地悪だけで落としたと思う?意地悪をするのは愛情の裏返しってよく言うじゃないか。というか只単に弦一郎とお風呂に入りたかっただけなんだけど。

「そのくらいにしといてあげたら?」

「周助…」

俺の邪魔をするつもりかい?

「弦一郎、後で俺の部屋に来てくれない?」

弦一郎は精市姉さんだけのものじゃないんだよ。

精市と周助は弦一郎が分からない所で火花を散らしているのでした。

「うむ。此方が終わったらすぐに行く。」

そして弦一郎は精市の用事を済ませ周助の部屋に向かいました。

【コンコン】

「どうぞ。」

「失礼する。」

「弦一郎か。」

「うむ、何用なのだ?」

「今日は一人で寝たくないんだ。だから一緒に寝てくれないかな?」

「それは構わんが…」

「勿論、下で寝て貰うけど。」

「では布団を持って来なければいかんな。」

「布団も狭くなるから駄目。」

 
「では、どうやって寝るのだ。」

「勿論、身一つ。」

「…寒いだろう。」

「大丈夫、僕の部屋には暖炉がついてて暖かいから。」

「…分かった。」

「フフ、じゃあ寝ようか。」

「うむ。」

周助はベットで弦一郎は床で寝ました。
弦一郎が寝息をたて始めた頃、周助は暖炉の火を消しました。

「…フフ…。」

弦一郎は寒さのあまり小刻みに震えていました。

「…んっ…」

「弦一郎の可愛い姿は堪能したし、風邪を引かない内に暖かくしなくちゃいけないね。」

周助は弦一郎をベットに上げ、抱き枕にして眠りにつきました。


次の日もまた次の日も同じ様なイジメ?が続いていたある日。

「弦一郎、手紙が来たみたいだ。取って来てくれないか?」

「うむ。」

【バシャ】

「む!?」

「すまない。こぼれてしまった。靴は脱いで行くといい。」

貞治はわざと弦一郎の靴に水を零した。

「む…」


「貞治もなかなかやるね。」

「ただ蓮二が弦一郎にべったりなのが気に入らないだけだろ?」

「まぁね。助けてあげたいけど僕達は意地悪なお姉さん設定になってるからどうすることも出来ないな。」


 
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