キリリク部屋

□素直になれない…。
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「今日は寄り道して行こうか?」

青学に用事があって東京に出てきた三強。
突然、幸村が普段言わない事を言い出した。

「「はっ?」」

「いつも真っ直ぐ帰ってちゃつまらないだろ?」

「つまるとかつまらないの問題ではないだろう。帰って練習せねば。」

「柳は寄り道していくよね?」

「俺はどちらでも構わない。」

「いや、蓮二は俺と真っ直ぐ帰るのだ!!」

「では弦一郎と…」

「寄り道決定。さぁ行くよ。」

幸村は帰ると言う二人を強引に引っ張って行った。

「ふぅ…」

「どうしたの?溜め息なんかついて。」

「いや…」

お前のせいだろう?

「フフ…此処に入ろうか?」

「ファーストフード?」

「そう。」

「ファーストフード店なら神奈川にもあるが?」

「偶には違った所で食べるのもいいだろ?」

「そうか?」

幸村はお構いなしに入っていった。

「いらっしゃいませ。」

「混んでるな。」

「あと15分と言った所か。」

「まぁ、それ位なら待とうか。」

「………。」

「弦一郎、急に大人しくなったな。」

「む、その様な事はないぞ。」

「いらっしゃいませ。」

 
真田達が待っていると越前と桃城が入って来た。

「あっ−!!立海の真田さんじゃ無いッスか?!」

入って来るなり桃城は真田達を見つけ大声をあげた。

「む?うるさいぞ。もう少し静かにせんか。」

「すいません…。」

「ホントにね。たかが立海の副部長さんに会ったぐらいで。」

「む…越前…」

「ども。」

「俺ら軽く無視されてるね。」

「まぁな。」

「次、回って来たんじゃないの?」

「む?うむ…。」

「弦一郎、何にするんだ?」

「そうだな…。」

「…はぁ。」

越前は真田の注文の遅さにため息をついた。

「む…。」

「弦一郎?」

「えっ?あっいや…」

「ゆっくりでいい。自分が何を食べたいのか伝えればいいんだ。」

「ゆっくりでいいなんてお店に迷惑だよね…。」

越前はボソッと言った。

「…蓮二と同じのにする。」

「それでいいのか?」

「…うむ。」

「結局、同じのにするんだ。」

「………。」

「フフ、あまり真田を虐めないでくれないか?」

「………。」

越前は何も言わぬまま真田を見続けていた。

 
「さて、注文も終わったし席に行こうか。」

「あぁ。」

「真田さん、俺達も一緒に良いッスか?」

空気を呼んでない桃城は真田達を誘った。

「む、幸村、蓮二どうする?」

「別にいいんじゃない。」

「俺も異存はない。」

「うむ。桃城いいぞ。」

「どうもッス!!」

了承を得た桃城達は同席した。

「最近、そっちの調子はどうだい?」

「全然良いッスよ!!」

桃城は勢い良く答えた。

「日本語は正しく使え。」

すかさず真田の突っ込みが入った。

「その言い方親父みたいだよね。」

「………。」

越前の一言でシーンとなった。

「…まぁ、後話す話題もないから興味無いけど二人好きな人とかいないの?」

「えっ?好きな人ッスか?いるには…いますけど…。」

先に答えたのは桃城。

「フフ、青春って感じで良いね。坊やは?」

「…別に関係ないじゃん。それにその坊やっていうの止めてくんない?」

「越前、それが目上の者に対しての態度か?」

「ふ〜ん。人に聞くときはまず自分から言ったら?それが礼儀でしょ?」

「む…」

「フフ、俺が好きなのは勿論、真田だよ。」

「右に同じ。」

 
幸村と柳は恥ずかしげもなく答えた。

「な、何を言っておるのだ///」

「ふ〜ん、モテモテだね。で、真田さんは?」

「お、俺は…」

真田はチラッと越前を見た。

「教えん。」

「そ、じゃ俺も言えないッスね。」

「言えないって事はいるにはいるんだな?」

「どっかの誰かみたいに揚げ足とらないでよ。」

「おい、越前見て見ろよ!!」

桃城はまたもや空気を読まず大声をあげた。

「今度はなんスか?」

「あれ、桜乃じゃねぇか?」

「そうみたいッスね。」

「桜乃?」

初めて聞く名前に柳が反応した。

「こいつのガールフレンドなんスよ。」

「っ!!」

「どうした?弦一郎。」

「………。」

「まぁそんな事どうでも良いじゃ無いッスか。俺が好きなのは一人だけだし。」

越前は敢えて否定しなかった。

「っ!!…俺は失礼する。」

「弦一郎?!」

真田は店から飛び出して行った。

「チッ…」

越前も追うように出て行った。

「追いかけるぐらいだったらあんなにツンケンしないといいのにね。」

「フッ、そうだな。あの性格に加え嫉妬していたんだろう。」

「えっ?えっ?」

桃城一人、事態が把握出来ていないのだった。

 
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