キリリク部屋

□糾弾
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此処はjr.選抜強化合宿場。


「何で真田さんと一緒じゃないんスか!!」

切原が大声をあげるのも無理はない。
愛しの真田と班が違ったのだ。

「赤也、五月蝿いぞ。」

「だって、いつも真田さんと一緒なのになんでこんな時ばっか離すんスか!!」

「仕方なかろう。これは学校の合宿ではなく選ばれし者しか参加出来ないjr.選抜強化合宿なのだぞ。」

「そんな事分かってるッスよ…。」

「そう落ち込むな。ずっと離れているわけではなかろう。」

真田は切原の頭を撫でた。

「真田さん…。」

「よう、そうしてると真田の子供みてぇだな。」

「何だと?!」

切原はつかみかかる勢いで跡部を見た。
「赤也。跡部も余計な事を言うな。」

「アーン?俺は思った事を言ったまでだぜ。」

「それが余計な事だって言ってるんスよ!!」

「赤也、そう興奮するな。」

「だって…」

「クッ、やっぱ子供じゃねぇか。」

跡部はからかうように笑った。

「そうだな。赤也は子供のように可愛いぞ。」

「さ、真田さん?!」

「?俺も思った事を言っただけだが何か悪かったか?」

「フン、俺様はもう行くがこれからが楽しみだな、真田。」

 
跡部は意味深に去って行った。

「すっげームカつく!!」

真田さんの言葉は嬉しかったけど。

「まぁ、そう言うな。」

「…はい。」

アッ!!アイツのせいで忘れてたけど真田さんの他には柳先輩と乾さん、海堂に不二兄弟に佐伯さん、河村さん、観月さんか。それで監督は…榊!?一番危ねぇ…。

「ん?どうした?」

「いえ…兎に角気をつけて下さいね!!」

あの俺様がいないだけましか。

「?うむ。」

はぁ…心配。


「弦一郎、名残惜しいとは思うがそろそろ行くぞ。」

「蓮二茶化すな///!!」

「フッ、では行くか。」

「うむ。ではまたな、赤也。」

「ウィッス。」

俺もあそこに居たかったな。

「ふ〜ん。それなりに大切にして貰ってるんだ。」

「なんだ越前かよ。そりゃあもう大切にして貰ってるぜ。」

「そう、興味無いけど。」

「じゃあ話かけんな。」

切原は越前に背を向け部屋に戻った。

「どうしたんですか?元気無いみたいだけど。」

心配する梶本に素っ気ない態度の切原。

「別に。」


その頃の真田は…。

「弦一郎、残念だったな。」

「何がだ?」

「赤也の事だ。」

「まぁ、そうだな。」
「今日は素直だな。」

「赤也が思ったより不安そうだったからな。」

「そうか?」

「うむ。」

【コンコン】

「ん?誰だ?」

「赤也じゃないのか?」

「まさか…」

「よう。」

「また、お前か。」

ドアを叩いたのは跡部。

「失礼な奴だな。まぁそんな事より少し話しねぇか?」

「此処でか?」

「場所変えるか。じゃちょっと借りるぜ。」

「ん?あぁどうぞ。」

柳は快く真田を貸し出した。


二人はトレーニングルームに来ていた。

「なんだ?」

「分かってんだろ?」

「………。」

「お前がさっさと答えだしゃいいんだよ。」

「それは前にも断ったはずだぞ。」

「俺様は納得いかねぇんだよ!!」

【ガチャ】

「おっ?跡部こんなとこおったんか。華村先生呼んどったで。」

「チッ、分かった。真田、考えとけよ。」

それだけ言い残すと跡部は部屋を出た。

「はぁ…」

「自分も大変やな。」

外で切原が聞いとったん言った方がええんやろか?

「いや…では俺も行く。」

あ〜あ言いそびれたなぁ。



【ドン!!】

「うわっ!!」

「………。」

「もうビックリするじゃん切原君!!」

 
「………。」

「切原君?」

「うるせぇ。」

切原は凄い形相で千石を睨んだ。

「こわ…。」




「どうだった?」

「どうだったとは?」

「いや、跡部と。」

「別に何もないが。」

「…おかしいな。」

「なにがだ?」

「いや、何でもない。」

赤也を行かせたんだが何も起こらなかったのか?

切原がいたのは偶然でも何でもなく柳が仕組んだ事だった。

そして合宿が終わりを迎えるにつれ恐ろしい事が待ち受けていようとはこの時、誰にもわからなかった。



「赤也。」

「なんスか?」

「どうした?」

「別に何でもないッスよ。」

「そうか?」

「そうッスよ。ただ真田さんに会えなくて寂しがっただけッス。」

「フッ、そうか。」

「真田さん…」

切原は真田に抱き付いた。

「どうした?赤也。」

真田は優しい声色で言い切原の頭を撫でた。

「真田さんを補充してるんスよ。」

真田さんはこんなに俺の事心配してくれてるんだからアイツの事は心配いらないよな?

「フッ、なんだそれは。」

「真田さんもして良いッスよ。」

切原は見上げながら言った。

「そうだな。」

 
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