近づいて

離れていく

きしきしと音がする

ちくちくと痛みがする



あぁ、気持ちが悪い


渇いていく



『漆黒の迷走曲』





「ねぇ、もっと楽しませてよ」

呻きながら倒れる男達を見下ろす

「弱いね…イライラする」

眉を潜め、近くの男の腹に蹴を入れる
動かなくなったそいつに再度蹴りをいれ草壁に後処理を任せ応接室に向かった





「………っ!」

ふとした瞬間に心の中をよぎる物に何とも言えない嫌悪感が湧き出てくる


気持ち悪い


眉を潜め口に手を当てる
湧き出る感情を納める術が分からず近くの壁を力任せに叩く

「はぁ、」

パラパラと壊れた部分から小石が落ちぽたぽたと手から血が落ちる


それでも気持ち悪さは取れない
どれだけ群れを咬み殺しても
どれだけ物を殴っても


気持ちが悪い







かつかつと書類を書く音が応接室に響く

机のうえには草壁が持ってきた紅茶が置いてある
飲む気がせずすっかり冷めきってしまっている

「こんなものじゃ潤わない」

こんなものじゃこの渇きは取れない

こんなものじゃ……

……どうしたら渇きが満たされる?
この気持ち悪さがとれる?
どうすれば……?

どう?



「っ!!!?」


ガシャン、


僕は今、何を考えた……?
馬鹿らしい
馬鹿らしい
馬鹿らしい

嫌悪感

イライラする


「…………」


手当たり次第とにかくトンファーで壊しまくる


気持ち悪い程の嫌悪感

イライラが治まらない


「はぁはぁ」


「派手にやったな」

「………赤ん坊」

「チャオッス」

「何?」

「用があってな」

「僕に?」

「まぁ、ある意味おまえにだな」

「何?ある意味って。まぁいいや、ねぇ僕と遊んでくれる?」


壊しても壊しても
治まらない

それどころか増す一方だから


「相手してよ」

返事を待たずにトンファーを構え窓に座っている赤ん坊に向かい一撃を放つ

「わりぃが忙しいからな。お前の相手をしてる暇はないぞ」


ひょいと攻撃をかわし後ろに回る

「ちっ」

片足を軸にそのまま赤ん坊の方を向く


「しまっ―――!!?」

目の前には弾が迫っていた

これは確か、


白い煙に包まれながらあの子が言っていた話が頭をよぎった



TO be continue....













H20.5.8  きな子
文少し編集

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