短編2
□それでも僕は歩いてゆく
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俺は王になりたかった。
いや、ならなきゃいけないと思っていた。
それは何のためだったか。
決まってる。
横暴で狂った国を、世界を自分で変えてやると思ったからだ。ゴミのように棄てられた母の仇を取るためだ。これ以上人々が貴族に脅えながら死んでいくのを見たくなかったからだ。それ意外に理由なんてなかった。
昔は国に対して、前王(ちちおや)に対しての憎悪だけで生きていた。それだけが生きる意味だったし、それでいいと思っていた。ただ、これは正義なのだと、自分の感情を誤魔化して。
でも、変わった。
笑顔の裏で、どんなに薄汚い事でもやってやろうと思っていた俺を、君が変えてくれたんだ。
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