NOVEL パラレル

Los colores bonitos2―Verde―
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この界隈は大きな書店や個性的な雑貨屋や、ちょっと値のはるレストランから安い居酒屋まで様々な店が集まっていて、自然付近の学生達が集まってくる。
だから、ここでルフィからさんざん聞かされていた「ゾロ」に偶然会ったとしてもそれはそれほど意外なことではないのかもしれない。
ウソップにしてみれば現在目の前でルフィと和やかに言葉をかわしているその男の外見のほうがよほど予想外であり、それが本当に話に聞いていたゾロと同一人物だとはにわかには信じがたいことですらあった。

県内でも中堅どころの進学校に通うウソップは、時折今日のように人の集まるところで自作のアクセサリーだとかストラップなんかを売って小遣いを稼ぐことがある。もちろん場所を選ばないととんでもない人間にからまれたり恐ろしい目にあうので夕方の早い時間に少しだけ、こういった比較的穏やかな人種の集まる場所で店開きをするのだ。

中学の時からの友人ルフィも時折おもしろがってついてきたりする。
今回はM大生が集まる場所なのでゾロに会ったりしてな、などと半ば冗談で言い合ったりしていた。
ルフィが会ったばかりの相手のことをこれほど気に入るのも珍しいので、ウソップとしても是非そのゾロとやらを一度見てみたいと思っていたのだ。

確かに思ってはいた。
だが、そろそろ帰り仕度を始めようというころ、突然ルフィが“ゾロ!”と大声を上げて、数メートル先で振り返ったその男を一目見た時ウソップはおいおいマジかよと胸の中でつぶやいた。
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