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祈り―and the one thing you can always rely on―
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Side Z

空島の人々もシャンディアさえもまきこんだ、大騒ぎの宴も終わった。
戦いに疲れた誰もがきっと今頃深い眠りについている。

月の無い暗い夜の中ゾロは一人ぼんやりと座っていた。
冷えた夜気を大きく吸い込んで一つため息をつくと、倒れた大木にもたれかかり包帯だらけの自分の体を見下ろした。左手を広げて指を握ったり開いたりしてみる。ちりちりと皮膚の下に痛みが走って思わず眉を顰めた。
体の中を電気が通った傷。

“とりあえず内臓はひどいダメージを受けてないみたいだけど…。でも、普通の外傷とは全然違うんだからな。何かちょっとでも変だと思ったらちゃんとオレに言うんだぞ。”

厳しい顔の船医からうけた忠告をゾロはちゃんと覚えている。
だが。
問題なのは体の痛みではないのだ。

難しい顔で手の平を見つめるゾロの後ろからじゃりじゃりと音をたてて足音が近づいてくる。宴の後にはよくこういうことがあるけれども、いつもならその音を疎ましく思うことなどないというのに。

「―ああ、ゾロ、ここにいたんか。どこにもいねぇから探したぞ。」

のんびりとルフィの声がする。

「…なんか、用か?」
「ん?別に。ただ、おまえすげぇケガだってチョッパーが言ってたから。どっかで寝ちまってんなら連れて帰ってやろうと思っただけだ。」
「そうか。」

そのまま寝に戻ってくれればいいと密かに願うゾロのすぐ隣に腰を下ろしてルフィは大きく一つ伸びをした。その横顔をちらりと盗み見てゾロは黙って前に視線を戻す。

そのいつもとは違う沈黙に気づいたのかルフィが不思議そうにこちらの顔を覗きこんでくる。

「…ゾロ?オレ、じゃまか?」
「……いや。」
「そか?」

―ばればれだ。

例え相手がルフィでも落ち込んでいることを見透かされるのはあまり気分のいいものではない。もっとも相手がルフィでなければそんなことを悟られるほど間抜けではないつもりだけれど。

どうせ隠しておくことができないのなら。
ゾロは前を向いたまま重い口を開いた。

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