NOVEL お祝い

Seeten life
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甲板の隅で昼寝をしていたらぺしぺしと額を叩かれて起こされた。
目を閉じたまま相手の腕を払いのけてあくびをかみ殺しながら答える。

「―なんだ」
「ゾロ、起きろ」
「……起きてるだろ。なんの用だ?」
「ちゃんと起きろってば。ほら、これお前にやるよ」
「―あぁ?」

眉を顰めながら薄く開いた目の前になにやら赤い物体が差し出される。鼻先を微かに甘い匂いがくすぐってゾロは幾度か瞬きをしてその物体に焦点を合わせた。
それは十センチ四方くらいの小さな箱で渋めの赤い包装紙の上に細い金色のリボンがかかっている。

「……なんだこりゃ…?」

胡散臭そうにその箱を眺めているゾロの横にしゃがみこんでルフィがしししと楽しそうに笑い声を上げた。

「チョコレートだ」
「チョコレート??なんで俺に?」

わけがわからないながらも顔の前に突きつけられたままのそれを受け取って体を起こす。手を上下させてみるとカタカタと微かな振動が手のひらに伝わってきた。顰め面でルフィに視線を向ければ、開けてみろというように軽く顎を上げてみせる。
ゾロは軽くため息をつきながらも、くるくると複雑にカールさせてあるリボンに指をかけた。

包装を解くと中からは透明なプラスチックのケースが出てきて、その中には酒瓶を模しているのだろう、青や緑の銀紙に包まれたボトル型の物体が十二本、行儀よく木製の箱の中に並んでいる。

「へぇ…よくできてんな」
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