140字作文

□140字その二(銀誕企画)
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「【誕】生日なんだよもうすぐ俺」布団に転がりながら万事屋が言った。「ガキ共がお祝いするって今からうるさくってさ。もう祝うような年でもねぇっての」口調とは裏腹に口元が綻んでいる。嬉しい時に文句。辛辣な言葉で情を吐く。こいつの会話はいつだってひねくれていて裏返しだ。【あと7日】


「【生】まれてこなきゃよかったって思ったことある?」「生憎ねぇな」「そりゃいいね」天井を見上げたままからりと愉快そうに笑う。多分お前にはあるのだろう。過ぎてしまったことはどうしようもない。生まれてきて良かったと、そう思えることがこの先にたくさんあればいい。【あと6日】


【日】付を頭の中で確認してみた。五日後のその日、チャイナ娘やメガネやそれから次々にやってくるクセのある客達や。皆に祝われ困ったように笑う万事屋が目に浮かぶようだ。お前が生まれてきたことを喜ぶ奴はお前が思っているよりもずっと多いのだと知って欲しい。【あと5日】
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