NOVEL 海賊
□Time works wondersU:ウソップ〜水平線
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階段を駆け上がりバタンとキッチンのドアを開けるとはたしてそこには羽ペンを手にしたナミの姿があった。
「なあに?ウソップ。そんなに慌てて。」
うるさそうにナミが顔を向ける。
「ナミ…。」
「どうしたの?」
「一つ聞いておきたいんだが、」
「?」
「あいつら、その、そういう関係なのか?」
「あいつら?…ああ、あいつらね。」
幾分青ざめているウソップに向かってナミが難しい顔をして見せる。
「そう、気がついちゃったのね。そうよ、隠していてごめんなさい。ルフィとゾロは恋人同士なの。」
つ、と視線を下げるナミを見てやはり、とウソップは考える。
そういえば、あのシロップ村での戦いの最中もずいぶんと息のあった二人だと感心したものだ。出会ってからまだ日が浅いと聞いたときはわが耳を疑った。だが、なるほどそういうことなら話はわかる。
振り向くと、開け放しのキッチンのドアから前甲板の二人がよく見える。どうやらルフィを背中から降ろすことをあきらめたゾロが、ルフィをくっつけたまま手摺りに背をもたれさせ寝ようとしているようだった。ゾロと手摺りにはさまれ、さすがのゴム人間ルフィも何か文句を言いながら手をばたつかせているのが、目のいいウソップにははっきりと見てとれた。
そうか、あの仲の良さはそういうことだったのか。
逃げ出したりして悪いことをしたな。
ウソップは少し胸を痛める。自分はこういったことに偏見はないつもりだったのだが。やはり突然のことで少し動揺してしまった。いや、だがわかってしまえばもう大丈夫だ。まだ知り合って日は浅いが二人は大切な友人だ。二人の恋を応援しようじゃないか。
そんな決意をしているウソップの耳にナミの笑い声が聞こえてきた。振り向くと頬杖をついたナミがにっこりと笑っている。
「嘘よ。」
「へ?」
「う・そ。あいつらがそんな上等なもんに見える?」
「は?」
かたり、と椅子を引いてナミがこちら向かってに歩きながら目を細めてウソップの肩越しに前甲板を見やる。
その時、
「ゴムゴムのぉ!ふうせーん!!」
ルフィの雄叫びに続いてゾロの叫び声が聞こえてきた。
「…何やってんのかしらね。」
あきれたようにナミがつぶやく。