NOVEL お祝い
□Seeten life
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目の前にかざしてみると、木箱の横には数字などが焼印で押してあり、酒場につんであるワインの箱なんかを思い出ださせる。なかなかに凝った造りだ。だが、それにしても。
「―で?」
「―ん?」
ただ酒の瓶に似ているというだけでわざわざ自分にチョコレートを買ってくるというのもおかしな話だろう。しかもこんな丁寧なラッピングまでほどこして。
「いや、だから…、」
「あのな、この前のお菓子島な」
言いかけたゾロの言葉をさえぎってあいかわらずニコニコと笑顔のルフィが言った。
「―あぁ…」
一週間くらい前に寄った島のことかとゾロは頷く。
確か正確にはスウィートなんとか、という名前だったはずだが、質の良い小麦やサトウキビなどがとれる島だという話で、どこに行ってもケーキをはじめ菓子ばかり売っていて島中が甘い匂いに満ちていた。
甘いものが特に嫌いというわけでは無いけれど、一日中あの匂いの中にいるとなんとなくむねやけがしたような感じになってきて、正直なところゾロはあまり好きな島ではなかった。
ルフィとチョッパーはずいぶんと喜んでいたけれど。
「あの島ではな今日はば…ばらん…なんだったかな、えーっと、…ばらんたいでーとかいって、好きな奴に花とかチョコをやってコクハクする日なんだってよ」
「…はぁ」
「そーゆー祭りなんだよ」