NOVEL お祝い

満ちる世界
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「だって、おまえもうすぐ誕生日じゃねぇか」
「………あぁ…もうそんなになるのか…」
「だからさ、なんか欲しいもん言えよ。酒と重り以外で」
「………重りはまぁおいとくとして、なんで酒以外なんだよ」
「酒なんて別に誕生日じゃなくたっていっつも飲んでるじゃねぇか。せっかく誕生日なんだからさ、なんかもっと他にゾロが喜ぶもんプレゼントしてぇんだよ」

ルフィの言葉に今度はトレーニングの手を止めてゾロがこちらを振り返った。

「なぁ何がいい?」

重ねて問うと少し首を傾げて考えるような表情になる。それから手にしていた巨大なダンベルを壁際に戻すとタオルで汗を拭きながらルフィの隣までやってきて、窓辺に置いてあった透明な酒の瓶に手をのばした。

「………欲しいもんっていってもなぁ……」

酒瓶を口に運びながらしきりに首をひねっている。

昨日おやつの時間にアクアリウムで皆と話していて、何かのひょうしにゾロの誕生日が話題になった。仲間になってまだ日の浅いブルックはこの船恒例の誕生日パーティーにひどく興味をもったらしく、はりきって周囲の仲間達にゾロにはどんなものをプレゼントすれば良いのかと聞いて回っていた。だがあらためて聞かれるとルフィも含めて誰も酒以外に特に思いつくものが無かったのだ。
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