NOVEL お祝い

満ちる世界
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ルフィも去年はたしかどこかの島で見つけた濃い緑色をした酒をプレゼントしたはずだった。その前の年はゾロの誕生日はできなくて、その前は切子のグラスだった。

何がいいですかねぇ、と考えこんでいるブルックの隣でルフィもまた同様に頭を悩ませた。

「なんだよ、ねぇのか?」
「………いや………そうだな」

一晩考えてみて何も思いつかなかったので直接本人に聞いてみることにしたというのに、ゾロからはいつまでたってもかんばしい答えが返ってこない。
口を尖らせるルフィを横目で見てゾロはため息をついた。

「じゃあお前は、例えば肉以外で何か欲しいもんを言えって言われて答えられんのか?」
「―ん?オレか?……んーとな、答えられるぞ。ケーキだろ。シュークリームにたこ焼きに、魚とかいもの天ぷらとか、あと豆のいっぱい入ったスープとか…」
「……今食いてぇもんを聞いてんじゃねぇ。…もういいわかった。肉じゃなくて食いもん以外で、だ」
「…む、なんだよずりぃぞゾロ」
「ずるくねぇよ。俺は酒全部駄目なんだろ。だったらてめぇは食いもん全部なしだ」
「……んん…?……そっか…?まぁいいや。食いもん以外だな。えーとな…」

腕組みをして考えながらルフィは、ん?と首を傾げた。
欲しいものを懸命に考えてみるのだが、頭にうかんでくるのはミートボールのいっぱい入ったシチューとかオーブンでこんがりと焼いた肉の塊だとかそんなものばかりで、んんん?と更に首を横に曲げる。
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