ぱられる

美しさ 
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「だーかーら。行けねぇっつってるだろ!?…もうホントいいかげんにしろよ。何回同じ話くり返してんの俺ら。俺は行けねぇから、お前とっとと行って神楽と新八呼んできてくださいコノヤロー」

「嫌だっつってるだろ。てめーんなこと言って俺がいねぇ間にどっかに行っちまうかもしんねぇだろうが。一人でなんておいていけるか」

「だからどこも行かねぇって!!どんだけ信用ねぇんだよ俺。だぁっもう、わかった!ほらっこれ!!」

数分にわたる押し問答にうんざりした俺は腰の房飾りから金の包みをはずして土方の目の前につきつけた。土方は少しのけ反りながら、胡散臭そうに眼前の萌黄色の布を見つめる。

「………何だ?」

「これはな、新八と神楽がさっき俺に持ってきてくれた金だよ。餞別ってーの?あれだ。大切なもんなんだよ。これをお前に預けとくから。人質……じゃなくて…えーと、なんてーんだこーゆーの…?―とにかく!俺はこれ置いてどこにも行ったりしねぇから。だからさっさとあいつらんとこに行ってこいよ。それでいいだろ」

「よくねぇだろ!!?んなもん持ってのこのこあいつらの前に顔なんざ出せるか!!ガキどもの気持ちもちょっとは考えろよアホッッ!」

「考えてんだよっ!!考えた上での俺にできる精一杯の譲歩だよこれ!?…つーかさ。お前こそちょっと頭冷やしてよっく考えてみろよ」
「―いいか?銀さんは、神楽ちゃん達に大変申し訳ねぇことしちまったなぁと海よりも深ぁく反省中です。町を出て行く前にきちんと謝っておきたいけど、俺があいつらの周りをちょろちょろしてんのを人に見られるとまたあいつらに余計な迷惑がかかるかもしれねぇんで、誰か心優しい人に二人を呼んできてもらって、ここできちんとお別れを言いたいです。―はい、土方君。今君がなすべきことは?」
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