ぱられる

ヒミツなふたり 
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「………で、結局腹に蹴り入れられてその日はヤれなかったらしいぜ」

「うぇぇ?マジで?最悪だなそれ。だって、どーすんだよその後。彼女ん家で便所借りて自分でヌくわけ?うわ、考えただけで泣けてくるわ。トラウマ確実だね」

昼休みの屋上、初夏のさわやかな青空の下で銀時と晋助が飯を食いながらクラスの奴の初体験失敗談で盛り上がっている。
……なんで弁当を食いながら他人のセックスの話を聞かなくちゃいけないんだろう。俺は箸でつまみかけたウインナーを弁当箱に戻してコーヒーの缶に手を伸ばした。

「それにしてもさ、あいつ未経験だったんじゃねーか。ちくしょう。去年さんざん人のことバカにしやがったくせに!よっしゃ!!勝ったぞ、コンチクショー」

ぐっとガッツポーズをとる銀時を見て晋助が妙な顔をした。

「あぁん?んだ、銀時てめぇいつよ」
「あ?何が」
「去年あいつに馬鹿にされたって言っただろ」
「…ああ、えぇっと、期末のちょっと前だから…去年の十二月…ん、十一月だったか…?」
「……はぁ?去年…?………こいつとか?」

食いかけのやきそばパンを向けられて、あやうく口に含んだコーヒーを吐き出すところだった。銀時が玉子焼きを頬張りながらあっけらかんと答える。

「そうだけど?」

こらえきれずに今度こそ俺は盛大にコーヒーを噴き出した。晋助がこちらに顔を向け、きったねぇな、と言って眉を顰める。

「何…、何で言っちまってんだ、てめぇ!!?」

ベタベタする口元を腕で拭いながら俺は銀時を睨みつける。銀時は一瞬何が?というように首をかしげたが、次の瞬間ようやく自分の失言に思いいたったらしく顔を真っ青にした。
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