140字作文

□140字その二(銀誕企画)
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こちらは2012年ツイッター上での銀誕カウントダウン企画に参加させていただいた分です。
9月30日〜10月10日の十一日間、それぞれ【銀】【さ】【ん】【誕】【生】【日】【お】【め】【で】【と】【う】の文字で始まる文章を作って最後に【あと○日】と入れるという素敵企画でした*^^*



【銀】色だ、と思った。生まれて初めて海を見た時のことだ。見渡す限りの波頭が午後の光にきらきらと煌めいて、うんとガキだった俺は、これはきっと世界で一番美しい景色に違いないと考えた。きらきらきらきらと美しい。人とは違う自分の髪の色を少しだけ好きになれた日の話。【あと10日】


【さ】わりと髪に何かが触れた。振り返ると満月に照らされて、背後に立つ男の瞳も髪の先も宿の薄っぺらな布団さえ全てが銀色に光って見える。きっとそいつが触れてる俺の髪も。きらきらきらきらと。「…綺麗だろ」手を払いのけ、にやりと問えば、「馬鹿か」とため息のように土方が笑った。【あと9日】


【ん】、というのはだいたいが肯定。「あぁ?」と語尾が上がるのは疑問あるいは不快。語尾の下がる「あぁ」が了承、納得。土方の会話はいつだって簡潔なくせに不明瞭で不親切だ。「馬鹿か」月明かりの下、微かに唇の端を上げて吐き捨てる。そう、そしてこれがこいつの愛情表現。【あと8日】
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