短編…番外編

あたしをそうやって殺す君のこと、好きだよ
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青い空、白い雲      
太陽は嫌なくらいにギラギラ
と照り輝いていて、今日の恭
也は絶対に不機嫌だなと思わ
ざるをおえなかった    


(だって恭也は雲だもの) 



あたしにとっては心地のよい
天気に大きく手を伸ばし伸び
をした。本当にいい天気ね。
写真でも撮って恭也に見せよ
うかしら         


pipipi          


ブレザーのポケットから振動
がし、あたしは面倒くさくの
ろのろとポケットに手を入れ
携帯を手にとり画面を見た 



「…げっ」        



着信:恭也        



震える手で通話ボタンを押そ
うとし、いやと躊躇う。そん
な中でも着信は待ってくれず
、諦めずいまだにpipipiと鳴
り続ける。もう何十回もコー
ルが鳴っている。恭也怒って
るだろうなと考え、機嫌を損
なわせないように優しい口調
で通話ボタンを押した   



「もっもしもしっ」    



正にいま電話に気づきました
雰囲気な口調で電話にでる。
我ながら上手いなあたし。な
んて思った        



『………』        



受話器の向こうからはなんの
声もなく、ただ聞こえるのは
受話器の向こうの向こうから
聞こえる、何かをぶん殴った
かの音。大方電話に出ないあ
たしに苛ついて草壁さんを犠
牲にしたのだろう     



(犠牲者一名か…)    



ははっと明後日の方向を見て
乾いた笑いを漏らす。ああ、
いまの自分はどんな表情をし
ているのだろうか     



『……ねえ、』      


「き、恭也…!」     



明らかに怒ってる。激怒だ。
憤怒だ。なんて喜劇なんだ。
あ、悲劇か。ぎゅっと自分の
手のひらサイズの携を握り締
める。微かにギシっと悲鳴を
上げたのが分かった    



『出るの遅い』      



どれだけ待ったと思ってるの
?とドスの効いた低い声で言
う恭也に心中ひぃ!とと携帯
の次に悲鳴を上げながらも、
震える声で受話器越しの恭也
に言う          



「ご、ごめんなさい!寝てて
気がつかなかったの…」  



本当は寝てないよ恭也。まあ
多分ばれてると思うけど。恭
也には嘘をついても何故かば
れてしまう。やっぱこれも愛
の力か。なんて戯言を考えた



『…そう』        


あたしの言い訳という名の嘘
を見抜いているのにも関わら
ず、彼はただ一言それだを呟
いた。うう、ばれてるのかや
っぱり          



「…怒っ、てる?」    



よね?と付け足し不安げに恭
也に問いかける。案の定彼は
うんと即答し、また受器の向
こうの向こう側にいる草壁さ
んを咬み殺した。何故分かる
かって?それはヴァリアーク
オリティならぬ愛のクオリテ
ィーだ          



『…なんていうか、安心』 


「…は?安心…?」    



突然意味不明なことを言う電
話越しの彼に、思わずさっき
までの思考が急停止する  



「…あん、しん?」    


『うん』         



なにが安心するのだろうか。
あたしが生きてること?携帯
を握りつぶさずにしっかりと
手にしてること?それともあ
れか?草壁さんを咬み殺すこ
とができたからか?いやいや
。恭也はそこまで悪趣味な人
間ではない。いまでも充分悪
趣味だけれど       


なんて考え、あたしはまた恭
也との会話に集中することに
した           



「なんで安心?」     



と落ち着いた声色で聞く  


だが次の言葉で、一気にあた
しの思考回路は止まることに
なる           



『大好きな君の声を聞けたか
ら』           



さらりと恥ずかしいことを言
う彼に対して、あたしは茹で
タコのように顔が熱くなる 


心臓をナイフで一気にぶっ刺
された感覚だ       



『聞いてるの?』     



そんな恭也に、あたしはただ
必死にうん、と返すことしか
できなかった       



あたしをそうやって殺す君のこと、好きだよ

(あたしも安心した、)

(そう呟くと、彼が嬉しそうに微笑するのが分かった)






雲雀たん…全然まだだけどはっぴ-ば-すで-!
いつまでも綱吉くんと共に愛してるぜべいべえ!


お題提出は喉元にリボン様(ありがとうございました!)








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