虚空がもし、見えるのならば

□プロローグ
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 守りたいものがあった。
 それは、街であり、そこに住む人々であり、親友であり、自分が住む下酷城であり――斬刀『鈍』であった。

 ただ、今は違う。

今守るものは、下酷城と斬刀『鈍』のみ。他のすべては砂漠に飲み込まれ、あるいは他の藩へと消えていった。

 そういえば、もう自分も死んだんだっけな――とかぼんやり考えながら、じっと本当に『消えるとき』を待っていた。

「……眠い」

 実際は眠気など全く感じなかったのだが。
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