象人間

□無題 短編 1
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夜の暗がりの中で、女がニタニタと笑っている。
薄気味の悪い笑みを浮かべ、何やらぶつぶつと呟いているがなにぶん小声で話しているので内容までは判然としない。

良く目を凝らすと、真白な産着を抱いている。どうやら女は赤ん坊に話しかけているようだった。しきりにニタニタと笑いながらとても楽しそうに赤ん坊に話しかけている。
赤ん坊はぴくりとも動かない。
女は赤ん坊の無関心なのも気にならないようである。

赤ん坊がふぎゃあとないた。
女は無表情になり、赤ん坊を打ち捨てるとどこかへ行ってしまった。

夜はまだ明ける気配を見せない。

赤ん坊がまたふぎゃあとないた。

その瞬間、私は女が何者であるか理解した。
 

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