rak buku

□Love hurts
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「おぜー」


そう言って部屋に入ってきた途端、
座っている尾関に向かっていく
僕の彼女、渡邉理佐。


「今日も可愛いねー」


そう言いながら綺麗にフロント・チョークを
尾関に決める僕の彼女。

「グヘッ」

尾関から変な声が漏れてしまっている。




僕が欅坂46のマネージャーになって3年、
理佐と付き合ってからは約1年半が経とうとしている。


他のメンバーやスタッフ曰く

理佐は仲良くなると甘えてくる
もっと仲良くなるとスキンシップが多くなる。




僕とは手を繋いだことぐらいしかない。
まして甘えてくることなんて滅多にない。


僕は本当に理佐と
付き合っているのだろうか。



少し尾関が羨ましくなった。






「ねぇ、葵ちゃん」


そう言って隣にいた原田に話しかける僕、
別に原田じゃなくても良かったのだが、
近頃センチメンタルになってしまっている。


「なんですか、名前さん」


そんな僕の感傷を
知ってか知らずか笑顔で振り向く原田。



「復帰祝いにさ、今度どっか行こっか、2人で」


「ほんとですか!行きたいです!」


喜びという感情を表情だけで
伝えられるくらいに顔を崩して笑う原田。


「どこに行こっか?」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






「ねぇ名前」



「何?」


僕の部屋に来ている理佐が
テレビを見ていたのに突然話しかけてきた。



「この前、葵とTDL行ったんでしょ」



「うん、行ったよ」



「私ともまだ行ったことないのに」



理佐は少し拗ねてしまったようだ。
尾関にばかりかまっている理佐に
仕返しする気持ちでした事だが
少しやりすぎてしまったようだ。




「そう言うと思って、これ」



USJのペアチケットを理佐に見せる。

理佐は少し驚いたような顔をしている。

2秒程して安心したような顔をする。



「よかったぁ

名前に愛想つかされたかと思った」



そう言ってダイニングテーブルで
パソコンを触っていた僕の
背中から抱きついてくる理佐。


「僕の方こそ
理佐に愛想つかされたかと思ってた」


そう言って顔を少し理佐の方に向ける。


「そんなわけないじゃん」


さも当たり前かの様に言い放つ理佐。


「最近、尾関にばっかりかまってるし
僕には甘えてもくれないし」


自分で言っても少し気持ち悪い。
かなりセンチメンタルに傾倒してしまっている。



「だって名前にするのは恥ずかしい」



そう言って抱きしめる力を強める理佐。

かなり痛い。


理佐は僕の首あたりに顔を埋める。


耳が少し見えるが赤い。
首元からも熱が伝わってくる。



「そんなとこ顔近づけて臭くない?」


僕の方も照れくさくなって
そんなことを聞いてしまう。


「名前のこと大好きだから
臭いところなんてないよ」


さらに力を強める理佐。

今はこの痛みに理佐からの愛を感じるのだった。
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