Jendela

□同い年の先輩
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そんな様子がひらがな推しで流された。

どうやら隠し撮りをされていたらしい。
アイドルあるあるなのに、
1度もされていなかったのに、
いかにもがな推しでしそうなのに、
頭から抜け落ちていた。

一人称はVTRを見て
スタジオでひとり赤面している。

「名字、顔真っ赤だけど大丈夫?」

若林さんが聞いてくださった。

「あ、はい、大丈夫です」

一人称が返事をすると
春日さんが大きく頷いた。


「河田、これはどういう状況?」


若林さんが今度は河田さんに話を振る。
一人称ももっと話した方が良かったのかな

「えっはい、いつもこんな感じです」

河田さんはいつも以上の笑顔で返答をしている。

「やべぇな、ホントなの富田」




赤い顔が収まりきらないうちに
収録は終了した。

「お疲れ様でしたー」

そう言って三々五々、
楽屋へと帰っていく先輩達。

ひなのは菜緒に手を引かれて
歩を進めていた。


折角、3期生をフィーチャーしてくれたのに
全然喋れなかった後悔と
あの映像による気恥しさが
胸に残り、楽屋へと向かえない一人称。

立ち尽くし俯いていると
スタジオの入口から小走りで
一人称に近づく足音。

スタッフさんかなと思った
そのローファーは一人称の目の前で止まった。

一人称の頬に手が添えられる。

いつの間にか流れていた涙が
その親指で拭われる。

無理のない程度の力で
顔をあげられた先には
河田さんがいた。

「ねぇ名前ちゃん、
今日暇?ご飯行こ」

目の前の天使は一人称にそう告げた。
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